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HPことわざ研究/談話室 #38

2025年11月

ことわざに描かれた十二支の動物
―描かれた各動物の特徴を概観する―

馬場 俊臣

 

プロフィール
 日本ことわざ文化学会会員。現在、北海道教育大学札幌校特任教授。北海道教育大学名誉教授。専門は日本語学であり、主な研究領域は近現代語の文法論、文章論、文体論です。著書に『日本語の文連接表現』『現代日本語接続詞研究』などがあります。大学公開講座で、ことわざに関する講演をしたことがきっかけで、十二支の動物が含まれることわざを調べるようになりました。

 

要旨
 馬場(2010)~(2021)の内容に基づきながら、十二支の動物(鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪)が含まれる日本のことわざを対象として、動物のどのような特徴がことわざに取り上げられ、どのような捉えられ方がされているかが概観できるように一覧表を作りました。一覧表は、全体的特徴、部分的特徴、動作・行動の特徴、その他の特徴の四種類に分けて作りました。全体的特徴では、動物それ自体の捉えられ方をまとめました。部分的特徴では、「目」や「耳」などの動物の部位等の捉えられ方をまとめました。動作・行動の特徴では、「走る」や「食べる」などの動物の動作・行動の捉えられ方をまとめました。その他の特徴では、「牛」と「馬」のような対比される動物などをまとめました。
 作成した一覧表に基づいて、ことわざを例示しながら、家畜や野生動物としてどの程度身近な動物か、人間にとって有益な動物かなどの違いに応じて、どこまで細かく詳しい特徴に注目しているか、肯定的捉え方・否定的捉え方のどちらに偏っているかなどの違いがあることをおおまかに見ていきました。
(文献:馬場俊臣(2010)~(2021)「「鼠」に関することわざ」「「牛」に関することわざ」など『札幌国語研究』15~26、北海道教育大学国語国文学会・札幌)

 

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HPことわざ研究/談話室 #37

2025年9月

ネットから得られることわざの類義語情報(1)

辻本 雄次

 

プロフィール

 1951 年大阪府生まれ。1979 年大阪大学大学院博士課程修了(有機化学、工学 博士)。元大阪市立環境科学研究所研究主幹(環境衛生や食品衛生に関係した調 査研究)。2019 年より某会社でインドネシアやベトナムからの特定技能生等の 日本語学習の支援を行っています。 10 年ほど前に中国語学習の関係で偶然ことわざの面白さに出会いました。 2022 年に日本ことわざ文化学会に入会。現在は、ことわざについてネットがど のような情報を発信しているのかに関心を持っていまして、自分なりにその情 報を整理したいと思っております。

​要旨

 一般の人にも馴染みが深いと考えられることわざを 34 句選び、それらについ ての類義語がネットでどの程度収集できるのか試みています。ネットでの収集 では8つのネット辞典等のサイトのうち、比較的多くの類義語を掲載している 2つのサイトから主に集めています。収集しました類義語は「異表現(同義で表 現が近似)」と「類義語表現(類義の意味を有し表現が相違)」に分類し、類義語 についてのさまざまな情報もネットから集め、個々の類義語についての解説に 使っています。一方出版物の辞典を用いて同様に類義語の記載を確認し、ネット で収集しています類義語の解説に辞典情報も引用しています。辞典は 5 冊(世界 ことわざ比較辞典、岩波ことわざ辞典、明鏡ことわざ成句使い方辞典、新明解故 事ことわざ辞典、故事・俗信ことわざ大辞典)としていますが、それは➀類義語 を積極的に掲載している、②ことわざの意味だけでなく有用で価値ある情報が 多く含まれている、③ことわざの収録語数が日本一である、④刊行年から考えて ネットでのことわざの情報に影響を与えている等の理由によります。 このような試みを 3 回程度に分けて紹介する予定です。初回は以下の 11 句の ことわざについての類義語情報を紹介しています。 (1)案ずるより産むが易い[し]、(2)石の上にも三年、(3)石橋を叩いて渡る、(4) 急がば回れ、(5)一寸先は闇、(6)馬の耳に念仏、(7)隗より始めよ、(8)火中の栗 を拾う、(9)我田引水、(10)果報は寝て待て、(11)臭い物に蓋(をする)

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HPことわざ研究/談話室 #35

2025年7月

多文化共生時代の日本語・ことわざ教育

佐古恵里香

 

プロフィール

日本ことわざ文化学会会員。現在、流通科学大学商学部マーケティング学科にて特任専任講師を務め、留学生を対象とした日本語教育に携わっている。経営情報学修士のバックグラウンドを活かし、ICT・AI技術を応用した教育手法の開発に取り組み、学習者の認知プロセスの可視化と解明を目指している。博士課程では、中間言語に関する理論的枠組みと、視線計測(アイトラッキング)を用いた学習者の視覚認知の分析に注力し、日本語学習支援における新たなアプローチの構築に取り組んでいる。研究成果として、村上春樹作品を題材とした言語教育実践、視覚イメージを活用した語彙学習支援などを発表している。近年は、生成AIと第2言語習得との関連性にも着目し、教育現場へのAI技術導入に関する研究を進めている。

​要旨

ことわざは、昔から人々の暮らしの知恵や価値観を短いことばで表現するもので、世界中の文化に存在します。たとえば、「弱肉強食」や「三つ子の魂百まで」といった日本のことわざは、外国語にも似たような言い回しがあることが知られています。このようなことわざを比較することで、異なる文化の考え方や習慣をより深く知ることができます。一方で、日本語を勉強している外国人日本語学習者(以下、学習者)にとって、ことわざの意味を理解するのは簡単ではありません。なぜなら、ことわざには、その国特有の文化的な背景やイメージが込められているからです。学習者は母語(自分の国のことば)で身につけた表現や価値観をもとに、日本語のことわざを理解しようとします。そのため、ことわざに対するイメージが日本人とは少し違う“中間的なイメージ”になることがあります。これを筆者の一連の研究では、“interprototype(インタープロトタイプ)”と呼びます。この一連の研究では、学習者が日本のことわざをどのようにイメージしているのかを、主に3つの視点から調べ、多文化共生自体の日本語・ことわざ教育について考察します。
 

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HPことわざ研究/談話室 #34

2025年6月

「三度目の正直」の起源を巡る一考

―由来は日本? それとも西欧?―

時田昌瑞

 

プロフィール

日本ことわざ文化学会会員

要旨

25年以上前から気にかかっていた「三度目の正直」について、その由来を探るべく自分ひとりで35年前から集めてきた古今のことわざの使用例などをベースにしてアプローチしてみた試論です。
 本稿で着目したのは、ことわざの成立年とバリエーションを含めた実際に使用されたことわざの数量です。個人の全集や著作集を読み、そこからことわざを拾い出す作業を長年やってきた経験からなのですが、どうも当人が愛用しているか、気にかけている語句があるように窺われるのです。これは個人のレベルだけでなく、ジャンルによる違いもありそうで、古くは室町時代の御伽草子であり、江戸期の人情本、講談などでも似た傾向が窺われるのです。
 今回は日本のおとぎ話の草分けである巌谷小波に焦点を当ててみました。また、小波はドイツ文学にも大変明るく、こちらからも追究してみました。

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HPことわざ研究/談話室 #33

2025年5月

「難波の葦は伊勢の浜荻」考

渡辺慎介

 

プロフィール

日本ことわざ文化学会会員

1943 年生まれ。横浜国立大学名誉教授 大学では物理を教えていました。定年後にことわざに興味をもち、本学会に加入し、ことわざを楽しんでいます。
著書:物理学の著書はいくつかありましたが、大半は絶版になっています。現在刊行されている 「物理学入門コース/演習 例解力学演習」(岩波書店)と「理工系の数学入門コース演習ベクトル 解析演習」(岩波書店)は、それぞれ35年前と25年前に書いたもので、未だに無知を曝しているようで、恥ずかしい思いをしている。やはり、33年程前に書いてすでに絶版になっている 「ソリトン非線形の不思議」(岩波書店)は、松岡正剛氏の千夜千冊―848夜に評が載っています。 私の若い時の顔写真もあります。現在は、全文が掲載されていないようです。松岡正剛氏は 自分の言いたいことを言っているだけで、本の内容にはほとんど触れていません。本の評価は良くないようです。この書評は松岡正剛著「千夜千冊エディション 数学的」角川ソフィア文庫 pp. 272-279(令和6年3月)にも載っています。興味があれば、本屋で立ち読みして下さい。 買う必要はありません。

要旨

ことわざ「難波の葦は伊勢の浜荻」に最初に出会ったのは、本会に入会して時田さんの 「岩波ことわざ辞典」を通読していた時であった。七音七音の読みやすい句であり、すぐに頭に 入ったのを記憶している。意味は、呼び名や習慣は、同じものでも地方によって違うものだという たとえ、である。ことわざの形式も意味も特に目立った特徴もなく、どちらかと言えば平凡なことわ ざである。しかし、植物学的に言うと「葦」という植物が「荻」という植物と同じであると主張している のだから矛盾がある。 そこで、この論考では、「伊勢の浜荻」と「難波の葦」が和歌で詠まれた 歴史を顧みるとともに、両者が同じ植物であると主張されるに至った経緯を先ず検証する。同じ 植物であるとの主張は歌論の中で言い出されたことを最初に指摘する。本草学というか植物学の 分野で、その主張が平安時代から鎌倉時代までに検証された事実は確認不可能であるが、歌論 に携わる人々が長くそのように主張してきたことは確かである。南北朝時代の 1356 年に菟玖波 集において「難波の葦は伊勢の浜荻」と詠まれ、ことわざとして定着した。江戸時代、そのことわざ は人口に膾炙し、俳句、狂歌、川柳などにも取り上げられた。 一部には、「伊勢の浜荻はい葦にあらず」の主張もあったが、それが大きな勢力となることはなか った。 最終的には、江戸後期の本草学者である小野蘭山と植物分類学者の牧野富太郎が伊勢 を訪問して、「伊勢の浜荻と言われている植物は芦である」ことを検証した。しかし、現代でも一部 の辞書などは「伊勢の浜荻は葦にあらず」の見解に固執している場合もあるし、そうでない場合で も間違った解釈をしていることもある。平凡なことわざにしては、話題が尽きないという少し変わっ た性格の持ち主なのである。

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HPことわざ研究/談話室 #32

2025年3月

ベンジャミン・フランクリン『貧しいリチャードの暦』の
ことわざめぐり

林幸子

 

日本ことわざ文化学会員。
元埼玉県立大学准教授。
現在:神奈川大学非常勤講師。日本笑い学会関東支部運営委員。
専門:アメリカ文学。特にマーク・トウェイン、ベンジャミン・フランクリン研究。
著書:テキスト版 66 Ways to Save the Earth など

要旨

「ベンジャミン・フランクリン『貧しいリチャードの暦』のことわざめぐり」と題した連載も本論で最終稿となる。Benjamin Franklin(1706-1790)作Poor Richard’s Almanack (『貧しいリチャードの暦』)はことわざの宝庫ともいわれるが、これまで日本では全体像の紹介がほとんどなされていない。そこで全体像の把握を目指し、前稿までに1733年から1747年まで15年間の暦を分析し、およそ500のことわざが確認できた。フランクリン自身が認めている通り、掲載されていることわざの多くはフランクリンの創作によるものではないが、彼は言葉の無駄の削減やイメージの具体化、anti-proverb(反意ことわざ)といったリメイク手法を用い、独特の娯楽性豊かなことわざに作り変えている。
 連載の最終稿として、本論では1748年から1758年まで11年間の『貧しいリチャードの暦』を対象とし、これまで同様すべてのことわざを取り出し分析するとともに、前稿までの15年間と合わせて26年分、つまり『貧しいリチャードの暦』のことわざ全体の傾向や特徴を考察する。さらに、1748年以降タイトルがPoor RichardからPoor Richard Improvedに変更されたことの意味や、後にThe Way to Wealth (『富に至る道』)として独立して出版される最終1758年版の独自性についても考察する。

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HPことわざ研究/談話室 #31

2025年2月

英語固有のことわざについて

東森勲

 

龍谷大学名誉教授. 専門は英語学,特に認知語用論.英語ことわざ研究はじめて10年。まだまだ奥深くて、道半ばです。今回の執筆内容では、英語固有のことわざということで、先行研究がなくて、苦労しました。イングランド固有種の動植物など論文にまずあたりましたが、なかなかことわざと結びつかないで、最初はどこから手をつけるか手探りでした。なんとか形になりよかったです。かつて、『プラクテイカル・ジーニアス英和辞典』(大修館)の編集主幹となり、日本文化固有の内容の英語の例文を用例としてたくさん作成しましたが、日本独特でないとして、かなり没となりました。今回もイングランドだけでなく、ヨーロッパ、あるいは世界中にあるものとしてかなり英語固有の候補としてあげたものを没にしました。イングランドは地理的にも文化的にもヨーロッパと近くて、固有性発見は難題です。

要旨

本稿では97例の英語固有のことわざを集めて、分類し、それぞれの表意、推意を付け加えた。ことわざが英語固有であるということを示すため、できるだけ詳しくイングランドの文化的背景を付け加えた。三例を以下に紹介する。

(1)Hunger makes dinners (=the day’s main meal), pastime suppers.

— Tilley (1950:333) 初出1640, Fergusson (2000:113)

表意:空腹を満たすにはディナー(一日の主要な食事)(でたっぷり食べて)、味覚を楽しませるためにはサパーで軽く食べるのがよい。

(2) Corn in good years is hay, in ill years straw is corn.

       —Tilley (1950:119) 初出1640

表意:豊作の年には[CORN]*(=麦類)は[HAY]*(=牛馬の飼料)となり、凶作の年には[STRAW]*(=わら)は[CORN]**(=人間の食糧)になる。

(3) It takes three generations to make a gentleman.

      —Fergusson (2000:24), Speake (2008:127) 初出1598

表意:ジェントルマンが生まれるには3世代かかる。<大塚・高瀬(1976:371) >

 

例(1)ではイングランドでの食文化の変化におけるdinner とsupperの違いの理解、例(2)では農作物cornの意味理解の変化、例(3)ではイングランドの階級社会でのgentlemanの意味を文化的背景も含めて正しく理解しないと英語固有のことわざの理解には至らないと思いました。

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