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HPことわざ研究/談話室 #29
2024年11月29日
ことわざの「1」と「0」
日本ことわざ文化学会員 蟻川剛
1950 年生まれ東京都出身定年まで小学校教諭定年後小学校講師日本ことわざ文化学会理事。著作:『学校で使いたいことわざ』大修館書店分担執筆。東京都江戸川区立二之江第三小学校校 歌作詞作曲(応募採用)。東京都国分寺市市史簡易版「ふるさと国分寺のあゆみ」の分担執筆。自称「歩き旅」、本州、四国、九州、45都道府県庁踏破。 趣味:旅行、俳句、読書。
要旨
千里の道も一歩からということわざがある。また、低学年のものさしの目もりを読むテストで、ものさしの端を「1」として数えて誤まった解答をした子どもがいた。いずれも算数・数学で当然あるべき「0」からでなく、「1」から数え始めている。ことわざの多くができた日本の近世では、数がどのように数えられていたのか。零という文字は使われていたが、数の上では「0」との意味ではなかった。他に、数え年や元号暦のように「1」から数え始める文化があった。このことから、「1」のついたことわざはあるが、「0」のついたことわざは無い、という仮説を立ててみた。ことわざには、「1」のついた様々な言い回しはあるものの、「0」のついたものは無く、仮説の通りだった。しかし、千里の行も足下に始まるということわざや「0」を使わなくても、「0」を意味する「無い」との形容詞がつくことわざは存在している。
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HPことわざ研究/談話室 #28
2024年10月21日
英語ことわざの共有性(その2)
日本ことわざ文化学会員 東森勲(ヒガシモリイサオ)
龍谷大学名誉教授
龍谷大学名誉教授. 専門は英語学,特に認知語用論(cognitive pragmatics).英語ことわざ研究は2014年「日英語ことわざの定形・拡張用法の意味理解プロセスを語彙語用論・句語用論で分析」として研究開始.ことわざの文字通りの意味から、暗に伝える意味の計算に興味があります。英和辞書『プラクテイカル・ジーニアス英和辞典』(大修館)2004年に作成.言語運用に興味あり『英語ジョークの研究』『翻訳と語用論』『メタ表示と語用論』『関連性理論の新展開』など執筆.今回の執筆内容ともかかわるギリシャ,ローマ,ドイツ,フランスなども訪れたことがあり,ことわざの背後にある歴史や文化にも興味があります.
要旨
本稿では英語ことわざとヨーロッパ言語ことわざの共有性についてStrauss(1998)を中心に検討した。英語ことわざからスタートして、いかにヨーロッパ言語のことわざに伝播したかを考察した。ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語などのことわざを中心に比較検討し、英語ことわざとの共有性を明らかにした。共有性の理論化は関連性理論では表意、推意が同じか類似している場合と定義される。具体例として、
英語のことわざ: Set a thief to catch a thief. — Strauss (1998:128)
表意:泥棒を捕まえるには泥棒を使え。
推意:同類の者のすることは同類の者にはたやすく推測できる。
ドイツ語のことわざ: den Fuchs muß man mit Füchsen fangen — Strauss (1998:128)
(=you have to catch the fox with foxes)
では(きつねを使ってきつねを捕まえなければならない)となり、英語では泥棒(thief)を使い、ドイツ語ではきつね(fox)に変化している。同類の悪い者を捕まえるのに<泥棒>から<きつね>への変化は興味深いものである。
参考文献
Strauss, Emanuel (1998) Concise Dictionary of European Proverbs. London: Routledge.
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HPことわざ研究/談話室 #27
2024年7月4日
ペットとことわざ
日本ことわざ文化学会員 芳川 雅美
写真協力 p.a.n.d.a.研究室 岩浪 真紀
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1941年(昭和16年)5月生れ、83歳。
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出身は東京都。先祖を3代遡ると徳島県。
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関東の大学を1965年に卒業、関西系の化学工業メーカーに勤務、営業・事業部などを経験。定年直前数年は子会社の役員。2003年9月リタイア。退職後も、現在まで続けている活動は・・・
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知的障害者支援NPO「あかね」役員(就労継続支援B型、移動支援、グループホーム、子ども食堂)
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合唱団(大学のOB合唱団など4団体に所属)
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日本愛玩動物協会兵庫県支所(愛玩動物飼養管理士1級) 支所閉鎖後は、東京の「p.a.n.d.a.研究室」メンバー
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日本ことわざ文化学会会員
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HPことわざ研究/談話室 #26
2024年5月28日
英語ことわざの共有性(その1) 英語ことわざの起源を求めて
日本ことわざ文化学会員 東森勲(ヒガシモリイサオ)
龍谷大学名誉教授
龍谷大学名誉教授. 専門は英語学,特に認知語用論(cognitive pragmatics).英語ことわざ研究は2014年「日英語ことわざの定形・拡張用法の意味理解プロセスを語彙語用論・句語用論で分析」として研究開始.ことわざの文字通りの意味から、暗に伝える意味の計算に興味があります。英和辞書『プラクテイカル・ジーニアス英和辞典』(大修館)2004年に作成.言語運用に興味あり『英語ジョークの研究』『翻訳と語用論』『メタ表示と語用論』『関連性理論の新展開』など執筆.今回の執筆内容ともかかわるギリシャ,ローマ,ドイツ,フランスなども訪れたことがあり,ことわざの背後にある歴史や文化にも興味があります.
HPことわざ研究/談話室 #17
2023年1月31日
ラティガン喜劇におけることわざ
日本ことわざ文化学会員 落合真裕
十文字学園女子大学教育人文学部文芸文化学科 准教授
駒澤大学非常勤講師
経歴:駒澤大学大学院博士課程満期退学。十文字中学・高等学校、十文字学園女子大学短期大部、駒澤大学で非常勤講師を経て、現在、十文字学園女子大学教育人文学部文芸文化学科に所属。
専門: 20 世紀のイギリスの劇作家テレンス・ラティガン。最近は、ラティガンの作品の中でもユーモアや笑いという切り口から作品研究を進めている。彼に影響を与えたオスカー・ワイルドや、ラティガンと激しい論争が交わされたバーナード・ショー作品についても研究している。大学では、ラティガンに影響を与えたシェイクスピアやワイルド、また 19 世紀末から現代におけるイギリスの演劇、映画、テレビドラマ、ファンタジー作品などを授業で扱っている。最近では、英語を苦手とする学生たちのニーズにこたえるために、『ハリー・ポッター』シリーズ、ディズニーやジブリ映画の原作となっている英文学作品などを取り上げながら講義をしている。
HPことわざ研究/談話室 #12
2022年3月24日
スワヒリ語圏内の民族語ボンデイ語のことわざの伝承
髙村 美也子
南山大学人類学研究所 プロジェクト研究員(2022年度現在)
ご専門:文化人類学
フィールドワーク地:タンザニア連合共和国北東部ボンデイ社会
ご研究:スワヒリ文化圏であるタンザニアの農村ボンデイ社会に焦点を当て、言語問題、口頭伝承の伝承問題、宗教文化に着目してきました。農村に根付いている「相互協力」のあり方を、伝承文化と社会環境の関係から明らかにする取り組みをしています。近年は、多文化共 生社会を目指す日本において、日本に滞在するアフリカ人の老後および死後に対する考え方に興味を持っています。
HPことわざ研究/談話室 #11
2022年2月4日
長野のことわざ研究手法
―社会科学としてのことわざ研究―
日本ことわざ文化学会理事 中尾 暢見(なかお のぶみ)
NPO 法人 郷土のことわざネットワーク・ことネット 理事
日本大学社会学会 理事
明治大学(政治学)論文博士
専門社会調査士
日本大学ほか非常勤講師
専門は、社会学、ライフコース研究です。大学では、社会学、家族社会学、コンピュータ実習、データ分析、社会調査士資格認定科目を主に担当しています。専門社会調査士資格を取得しているのでデータ分析をしますが、基礎研究、学説理論、調査による裏付け(実証研究)に基づいた科学的研究手法をとり、大学でもそれを教えています。穴田義孝元会長に御指導を頂き博士号を取得しました。その影響からことば/ことわざを分析データとして社会科学としてのことわざ研究に取り組んでおります。
HPことわざ研究/談話室 #10
2022年1月2日
コロナ禍におけることわざともじりについて
(Proverbs and Anti-Proverbs in Times of Covid-19)
日本ことわざ文化学会員 東森勲(ヒガシモリイサオ)
龍谷大学名誉教授
ご専門:英語学(特に語用論:関連性理論ーイギリスで発展している理論)
興味ある研究対象:日英語ことわざのもじり、英語ジョーク、英語翻訳、英語辞書作成など
1.(共著)『認知言語学大事典』朝倉書店 2019
2.(単著)『翻訳と語用論』開拓社 2018
3.(共著)『対話表現はなぜ必要なのか』朝倉書店 2017
4.(共著)『メタ表示と語用論』開拓社 2015
5.(単著)『英語ジョークの研究;関連性理論による分析』開拓社 2011
6.(共著)『プラクテイカルジーニアス英和辞典』大修館 2004
7.(共著)『関連性理論の新展開』研究社 2003
HPことわざ研究/談話室 #7
2021年9月9日
ことわざで見る素晴らしく凄まじい植物の生存戦略
日本ことわざ文化学会員 温 潤琮(Stella Wen)
会員の温(ウェン)です。「月例会」に代わる「 HP ことわざ研究 /談話室」が開設されたことを知り、温め続けていた植物、海の生き物とサバンナの動物の生き方のネタを原稿にしてみました。偶然にも#3、芳川さんが昆虫を取り上げられて、大変面白く読ませていただきました。 National Geographicでオーストラリアの森林火災の特集をよく読んでいました。毎回感動せずにいられませんでした。壊滅的な被害をもたらす自然災害を利用する、驚くべきオーストラリアの植物たち。その姿を強引にことわざに結び付けてみました。一度読んでみていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
HPことわざ研究/談話室 #4
2021年3月1日
『聖書』と ことわざ-ドイツを中心に-
日本ことわざ文化学会員 河崎 靖
ご経歴
1985年、京都大学大学院文学研究科修士課程(言語学専攻)修了。大阪市立大学講師、京都大学総合人間学部 助教授等を経て、2009年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門はゲルマン語学、言語学。著書に『ゲルマン語学への招待―ヨーロッ パ言語文化史入門』『ドイツ語学への誘い―ドイツ語の時間的・空間的広がり』『神学と神話―ドイツ文化誌 の視座から』『ドイツ語で読む『聖書』―ルター、ボンヘッファー等のドイツ語に学ぶ』『ボンヘッファーを読む―ドイツ語原典でたどる、ナチスに抵抗した神学者の軌跡』等。
HPことわざ研究/談話室 #2
2021年1月11日
2021 年 1 月 堀田秀吾氏(ほったしゅうご:明治大学法学部教授)にご寄稿いただきます。先生には 2020 年 5 月にご登壇いただく予定でした。その時のテーマと概要を改めて記しておきます。 多様な学問からの斬新な切り口により、異彩を放つことわざが続出するのではないか、と期待しています。
テーマ:「ことわざと科学的分析」 概 要:本発表は、拙著『このことわざ、科学的に立証されているんです』において展開 されている考察を基に、さまざまなことわざと既存の心理学・言語学・社会学・行動経済 学・脳科学・医学などの研究を結びつけることの意義、またそこに生じる矛盾や問題点などを論じていく。